ルークトゥンとは?

タイ庶民の音楽「ルークトゥン」


♪庶民の歌


 好むと好まざるに関係なく、タイには歴然とした階級社会が存在する。私たち日本人、外国人が旅行中に出会うほとんどが、その中でも下の階級の人々。つまりタイの一般的庶民。そんな彼らに好んで聴かれているのが、ルークトゥンやモーラムと呼ばれる音楽。  さて、ルークトゥンとは。まずタイの標準語とされる中部タイ語で歌われ、「田舎者の歌」という意味。これを好んで聞くのは上述のように庶民。これに対して上流階級が好んで聞いた「都会者の歌」、ルークグルンと呼ばれるジャンルもあるが、最近では懐メロとしてわずかに残るだけになっている。

 モーラムとは、タイ東北部方言で歌われ、ラムのモー(先生、師範)「ラムを吟ずる人」。と言う意味だが、最近では音楽のジャンル名としてのほうが定着している。元々は即興的な部分が多く、とても一般人には歌えないものだった。そこにルークトゥンやポップスのアレンジを取り入れることで、一般の人もカラオケなどで歌えるようにしたものが、現在一般にモーラムあるいはルークトゥン・モーラムと呼ばれている。このモーラムについては、別項を設けて詳しく書きたいと思う。 ※モーラムについて詳しくは別項で  これらルークトゥンが庶民にウケる理由は、一つは気の利いたメロディーやアレンジもあるが、多くは歌詞によることも多い。それらは、庶民を映し出す鏡のようなものかも知れない。かつて大ヒットした「クン・ラムヤイ」。そこにも憧れの人に「ラムヤイさん」と言われて傷ついた様子ともし、「きれいになったら同じ呼び方が出来る?」といって「今に見てなさい・・・」という密かな決意をする様子が歌われている。それは多くのタイ人女性が共感できることのようだ。

クンラムヤイを歌った ルークノック・スパポーン

 

 また、女優としても人気のベンツ・ポンチターが歌った「ドレミ」は、老若男女を問わずに大人気でした。これがヒットするきっかけとなったTVド ラマでは、田舎の歌が好きな女性がスターへとなっていく過程が面白おかしく描かれ当時は大人気だった。その内容はフィクションであってが、似たような話し は実際にいくつも存在する。上述のルークノック・スパポンや今や押しも押されぬ人気となったターイ・オラタイもデビュー前は、工員などの仕事をしていたと 言います。そして、大ベテランのアパポーン・ナコンサワンもその一人。田舎で祭りやコンテストの度に歌っているうちにスカウトされたものの、始めは鳴かず 飛ばず。9作目(ルークレオ・カ)にしてやっと大輪を咲かせたのです。


ベンツ・ポンチターは 今も大人気の女優

  ほとんどのルークトゥンの歌手が他のタイ芸能人と違うのは、貧しい下積み生活の時代を乗り越え、苦労をして上り詰めていくということ。外国人との2世 (ルーククルン)全盛のポップスや俳優達がコネだけで、いきなり(子供の頃から)トップスターの仲間入りをするのに対して、彼らは人に知られない不遇の時 間を多かれ少なかれ持っている。  このようなこともルークトゥンが庶民に好まれる大きな理由。そして日本の演歌が今や若い人に見向きもされていないのに対して、若いタイ人たちにとってそ れは夢の扉でもある。「わたしもいつかはこうなりたい・・・」と。お金もなく、コネもない、普通の庶民が自らの歌唱力という実力で、スターの仲間入りでき る。お金持ちになれる。普段、タイの国に歴然と横たわる階級社会に唯一、ポッカリと開いている風穴。それがルークトゥンといえよう。
 


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テーマ : タイの歌謡曲
ジャンル : 音楽

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