【コラム】ルークトゥン界:2559年の特徴と2560年の予想

ごあいさつ

新年明けまして、おめでとうございます。
本年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。

なかなか更新しないまま放置状態なのですが、まだ本ブログを辞めたわけではありません。これまでも1年以上に渡って更新しなかったこともあったように、気まぐれに、更新は続けていきたいと思っていますので、今年も引き続きお暇つぶしにどうかお付合いのほどよろしくお願い申し上げます。


さて仏歴2560年になり、あらためて昨年を振り返ってルークトゥン界の今後を考えてみたいと思います。偉そうに論じ断ずるずるつもりはありませんが、昨年を通して感じていたことをもとに、いま何がタイのルークトゥン界で起こっているのか、その分析を試みた上で今年何が来るのかを予想してみたいと思います。題して・・・



ルークトゥン界 2559年の特徴と2560年の予想


2016年ゴン・フワイライをも凌ぐ人気はブン・パトゥムラート
才能の豊かさを感じるステージと曲からは、とても19才だとは信じられない。





ヒットチャートの異変
 昨年のヒットチャートを見ていて気がついたのは、ランクインしてくる曲調。そして所属レーベルが大きく変わってきたこと。ここ数年間、Rサヤームを核としてポップス的な曲が多くランクインしてきたチャートでしたが、昨年後半あたりから雰囲気が変わりました。その代表がポッピー・マイトーンカム。しっとりとしたルークトゥンイサーンは数週にわたって1位に居座りました。他にも、同じマイトーンカムのジョーイ。こちらもしっとりと落ち着いた曲調です。
 かつて賑やかで華やかな曲が多くを占めていたヒットチャートは、昨年後半には無名の新人が、落ち着いた曲でそのトップを占めました。今にしてみてば、それはまるでラマ9世のことを予期していたかのようです。
 マイトーンカムは、ワークポイントTVが9CH時代から放送しているチンチャーサワンをベースにしたオーディション番組「マイトーンカム」で見出された歌手たち。他にはテレビのデジタル化に伴い、それぞれ独自のオーディション番組で歌手を見出して、専属にする形が定着したのも昨年の特徴。その中で一番成功したのがマイトーンカムでもありますが、他にもTVサンダーのマスターキーやタイラットTVなども専属歌手が生まれています。



2016年12月10日タイ国鉄フワランポーン駅構内で行われた
ラマ9世追悼コンサートで歌うリン・マスターキー(TVサンダー所属)
恐ろしいほどの歌唱力を秘めています。


業界を取り巻く現状

 ルークトゥン業界、そしてタイのテレビ・ラジオ業界について言えば、不景気のあおりをもろに受けている状態です。そのためスポンサーが付かなくなり、CDも売れなくなった今、その経営状態は非常に危機的な状態。大手についてはまだ表に出てきていませんが、それでもサバイディーTVのチャンネルが39から141に変わったのは、放映権維持費用の問題であることは明らかです。またグランミー系列も複数あったチャンネルのいくつかを閉局する動きがあります。思い起こせば、一昨年末にサバイディーラジオが閉局した時には、すでに影響は始まっていたのでしょう。

2015年12月20日サバイディーラジオさよならコンサートで歌うジャRサヤーム


著作権料はタイに馴染まない?

 ヒットチャートにグランミーとRサヤームが姿を消したと前述しましたが、ジャとカテーはその中でも奮闘しています。しかし、グランミーは壊滅と言ってもいい状態。これはいくつか原因があると考えます。その大きなものは著作権問題。歌手や作家にとって著作権とは守られるべきものなのですが、タイの場合これを主張し過ぎたばかりに自らの首を絞めている気がします。(このことは日本にも言えますが) 
 特にグランミー社は歌手が自身の持ち歌を歌う時ですら、あらかじめ許可を取らないといけないとか。かつて、マイタイがステージで演奏した曲の著作権料を払わなかったとして、最終的にはグランミーから去ったことは記憶に新しいのですが、今では場末のパブなどで演奏する場合も著作権料を払う必要があります。このためにグランミーの曲が演奏されることがめっきり減りました。アチコチの前座バンドを見ていても、インリーやラムヨンなどをたまに行く程度で、最近の曲が演奏されることはほとんどないように見えます。日本と同様に地上波での音楽番組が壊滅し、デジタル放送では、それぞれ専属の歌手たちが優先されている状況。グランミーこの波にも乗り遅れた感は否めず、かろうじて系列局でのドラマ「ホルモンズ」が全滅を防いだ形と見えます。



ゴン・フワイライバンコク初公演でのサイワーシボティムカン
偶然にも居合わせて、一体こいつは何者?と驚いたものです。
(2015年7月11日@タムナンコンイサーン)

著作権フリーがヒットの前提?
 Rサヤームも形としては、これに追随しているようですが、まだまだ縛りがゆるいのか、演奏されていることが多い様です。またルークトゥン界の老舗トップライン社も著作権料の徴収を始めましたが、その対象はカラオケ店などに限られ、ステージで演奏する場合は対象にしていません。この効果は絶大で、今ほぼすべてのルークトゥンコンサートで演奏する前座は、トップライン社の曲がメインになっています。
 一昨年ゴン・フワイライが大ヒットさせた「サイワーシボティムカン」。それは著作権フリーを宣言して、誰もが気軽に演奏できる状況を作りました。そのため、ヒットを大きく拡大させ、イサーン語の歌にも関わらず、全国規模のヒットになりました。そしてイサーン限定ながらクン・スパーポンの「シヒノーンボ」も同様に多く演奏され、ヒットを後押ししています。
著作権は、作者と歌手の権利を守るものではあるものの、その加減を誤ると自らの首を絞める諸刃の剣となります。このことは、日本の音楽界がJASRACの行き過ぎた締め付けによって、衰退してしまった状況と全く同じ構造。いい曲であっても、聴く機会がなければ知ってもらうこともできません。

クン・スパーポンのバンコク初公演での初シヒノーンボ
こちらはプロモーター氏の誘いで取材
その歌唱力とパワーには舌を巻きました。
(2016年7月23日@イサーンラムプルーン)


時代はネットとインディー
 今もっとも注目されている歌手は、間違いなくブン・パトゥムラートでしょう。彼のコンサートはどこも超満員ですし、当ルークトゥンタイランドのユーチューブ視聴回数でも群を抜いています。彼はもともとネットアイドルとしてRサヤームと契約する前から人気がありました。ネットにアップした自ら作った歌が人気を呼びました。ゴン・フアイライも同じパターンでヒットした先駆けですが、彼らの様にネットから生まれるヒットが多くなっています。
 また、ブンやゴンのように自ら作詞作曲して、ネットで活動をする歌手たちは、インディーと呼ばれています。これはバンコクにあるインディーズとは一線を画したもので、全く別物です。バンコクのインディーズは、かつてジョイボイがグランミーと契約する以前に活動したようなマイナー独立系のレーベルであったり、クラブなどで演奏を続けるアーティストを呼びました。しかし、ルークトゥン界で言われるインディーとは上述の様なネットから生まれたアーティストたちを指します。ペット・サハラットもその一人であり、今やトップラインにはなくてはならない存在となった上に、タカテンをも射止めてしまいまいました。また、ネットゆえに国境も越え始めているもの特徴で、アーム・チュティマーのようにラオスから生まれた歌手も出てきています。アームは現在クルワイ・クロンホイコンも所属するレーベル「チャオプラヤーレコード」と契約しました。
 追記として説明を加えますと、タイにはナクローン・タイディン(地下の歌手)と呼ばれる歌手たちもいます。この呼称は、インディーより以前からあり、メジャーレーベルとの契約をしていないものの、ある程度の知名度を持った歌手たちの漠然とした呼称です。その意味では、ヒットする前のクン・スパーポンも含まれていました。なにしろ、シヒノーンボ自体は、ネットに公開されてから火が付くまでに1年近くかかっていました。また、蛇足ながら、ゴン・フワイライのレーベル「Sound Mee Hang Record」は、クンのいる「MeeHangDay」にあやかって付けられたもの。後発は追い越してしまう形でブレイクし、その後クンもヒットしたのでサウンドミーヘンもホッとしたそうです。


新たなる淘汰の時代?
 テレビの不調は、不景気でスポンサーが集まらないことと並行して、ネット放送への移行という状況もあります。多くのスポンサーが旧来のテレビから、ネット放送へ広告をシフトしているのです。そのため、タイでもユーチューバーが増え、ネットアイドルと呼ばれています。テレビ業界も、そのネットアイドルを取り上げることでかろうじて話題性を取り込んでいますが、タイの視聴者はその放送自体をテレビではなく、ネット配信で見ています。今年、この流れは一層加速するでしょう。あらたなネットアイドルや新たなインディー歌手もも多く誕生すると思われます。しかし、タイ語の口コミサイトを中心したその動きなので、我々外国人が知る頃には、すでに大人気となっているという、その誕生の瞬間を知るにはタイムラグがおきそうです。その実例が上述のゴン・フワイライでもあります。わたしらが見たバンコク初公演の時には、すでに超満員になるほどの人気ぶりでしたが、マスコミにはまだ出ていませんでした。
 また、近年新たにいくつもの事務所が出来ては消えています。始めてシンガポール系が進出と話題になったV-MUSICもあっという間に撤退。グランミーもRサヤームもその規模と内容に変更を余儀なくされています。会社規模が大きくて宣伝費をかければ売れたという時代は終わりました。今後は、いかにネットで話題になるか。これが大きなポイントでしょう。今大手と言われているところも、来年には存在しているかどうか。それほどの状況でもあります。
 この様に今年もネットを中心とした流れは変わらず、ますます定着することでしょう。この流れにうまく乗るのは、規模が大きいことよりも機敏に動けることが肝要に思われます。つまりは資本力よりも、企画力、機動力。そして、それは会社というよりも、むしろ個人の方が適している面があります。多くのタイ人アーティストたちは不景気に苦しんでいると思っていますが、実は大きなチャンスが巡ってきている。そんな状況にある様で、少なくとも今年はこの傾向が続くと予想しています。

 果たして、ゴンやブンにつづくアーティストが、どう生まれてくるのか。ファンとしては楽しみです。


アーム・チュティマーが手がけた新曲サーオカーロッが好評で、話題先行を打ち破る
きっかけとなりそうなラムヤイ・ハイトーンカムも今年、やっぱり目が離せない一人。
しかし、彼女が持つ本来の歌唱力が評価されて欲しいと願っているところ。
あえてじっくりと聴かせる曲を打ち出すと面白いと思うんだけど。





 長文精読ありがとうございました。いかがでしょうか。同意いただける方、そうでない方、それぞれだと思います。同じ現象も人によって、見方によって、様々だと思います。わたし自身もこれがすべてとは思っていませんし、予想外のこと起こるでしょう。それにわたし自身も流行に敏感とは言えないので、気がつくのが遅くなりがちです。
 でも、最終的に人が聞いていて楽しくなる。共感する。それが音楽。いつの時代もその大前提に変わりはありません。読者の皆さんが好きになった曲、歌手。それぞれが一番なのです。巷で流行っていなくても、みなさんが良いと思えば、それがそれぞれの今年のヒット曲です。今年もルークトゥンを楽しみましょう。


今年も、ブログより
FacebookYouTubeでのアップが中心になると思います。
紙媒体では、
WaiWaiThailand
さんへの寄稿は、続けていきたいと思っています。
どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

2017年1月3日  
そむちゃい吉田 


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Re: リン マスターキー

コメントありがとうございます。
リンの歌唱力には、聴いていてしびれますよね。彼女に限らず、この数年、オーディション番組が増えたせいもあって、カイムックを筆頭に歌唱力バツグンな歌手達が続々出てきていますから、もっともっと数多く歌える機会に恵まれて欲しいものです。

リン マスターキー

リン マスターキーの歌唱力には本当に驚かされてしまいます。
ファランポーン駅のあの音が反響しすぎるような構内で、落ち着いていて、しかも時折笑顔を見せる堂々と歌う姿には感動します。

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