コラム:ラムヤイがタイで叩かれるワケ

​コラム
ラムヤイがタイで叩かれる理由

ラムヤイ・ハイトーンカム。今やタイでは知らない人はいない程に、知名度を持つ歌手になった彼女。その登場は、かなりセンセーショナルな報じられ方でした。つまり、コイツはケシカラン!という論調で。そして最近もプラユット首相が「あの腰振りはイカン!」と発言したことで再びこの論争に火が点きました。こうした経緯も踏まえてワイワイタイランド9月(202)号にも寄稿しましたが、それはあくまでほんのさわりだけ。


かつて、ラムヤイよりも以前に、セクシールークトゥンと謳われたバイトゥーイも、かつて同じようにバッシングを受けてました。それは、アンチ派も形成して今でも彼女のやる事なす事にケチをつけて回るほど。(以前よりはかなり減っているようですが。)また、さらにその前には、カンフーで一世を風靡したジャにも同様の事態が起きていました。端的に言えば、3人ともひとつの炎上商法とも取れるような登場の仕方だったわけです。ラムヤイがジャ・カンフー2と呼ばれていたのは、こうしたことに由来します。
では、なぜ彼女たちはタイでこうも叩かれなければいけないのでしょう。ここでは、その辺をラムヤイの例をもとに振り下げてみます。





カンフーで一世風靡したジャも当初は散々叩かれた



SNSにアップされた一枚の写真

 それが彼女の運命を変えてしまいました。しかし、大きく捉えれば希少なチャンスを得て、それを見事に掴み取ったことになりました。歌手となれば、誰もが有名になりたいし、そのために曲に恵まれる事を願うもの。しかし、たまたま彼女は曲ではなく、そのステージングで脚光を浴びたという事。初めてラムヤイに会ったときに、彼女のお母さんは、「歌手として成功して欲しいとは思っている。だけど、今は学業優先だから、せめて高校を卒業したら売り出したい。」と話していました。それが思わぬ形で脚光を浴びることになって、当初は戸惑っているようでしたが、表面的にはお母さんもラムヤイ本人も、落ち着いた振る舞いを見せていました。


SNSで拡散した写真のひとつ

ラムヤイバッシングの原因

 わたし達外国人の目から見れば、あの時のラムライ騒動は非常に奇妙に写ったものです。何しろバンコクのパッポン、ナナ、カウボーイからパタヤなどに立ち並ぶ、ゴーゴーバーにはビキニよりもさらに小さな布切れを着けているだけで踊っているし、中にはスッポンポンの店すらあるのですから。たかが歌唱ショーで水着で歌ったからって、どうしてここまで叩かれるのだろうと首を傾げた人も多いはずだと思います。ラムヤイがなぜあれ程に叩かれたのかということについては、このタイという国が持つ、何重にも絡み合うヒエラルキー社会をわかっていないと理解できません。

 貧困層から富豪、王族に至る経済的な格差。そして、バンコクと地方の距離的な格差。また、世代の壁という認識の格差。さらに言えば、外面と体裁を重視しして、目新しい事を受け入れない保守的な一面。こうした幾重にも絡みあったタイ人社会の構造が、ラムヤイ・バッシングを生み出したののです。



マスコミの取材を受けるラムヤイ(当時)


 この構造は、助け合い運動などには良い方向に作用しています。街頭チャリティーで驚くほどに多くの人が小銭を投げ入れたり、法人も個人もタンブンとして、寄付をすることが当たり前なことがその好例。これは、徳を積むという仏教思想がベースにもなっています。徳とは、自分自身が来世により良く生まれ変わるために積むものであり、決して人を救済するものではありません。救済するのは、むしろハイキアットと呼ばれ、徳を積む機会を与える事が徳を積もうとしている人を救済する立場になっています。つまり僧侶が正にその立場になり、僧侶は自らは厳しい戒律の中で自身の修養を重ね、そして人々(在家信者)のためには救いの機会を与えるために、托鉢を受ける。僧侶が托鉢や寄付を受けても、決してありがとうと言わないのはこのためでもあります。

 持てるものは、分け与えることで持たないものに救われる為の徳を積む機会を得る。徳を積もうとする持たないもの達は、その機会を与えてくれた事に感謝する。タイで、金持ちが尊敬され支持されるのは、何もお金を恵んでくれるからだけではないのです。金持ちであっても、寄付もせず施しもしようとしない成金達は、尊敬もされずにむしろ、蔑んだ目で見られています。

 このタイ式ヒエラルキー社会には、大きな溝と隔絶があります。かつては、バンコク育ちの人が地方に行くと、そのあまりの貧困さにショックを受けた人もいました。しかし、今でもその現実を知らなかったり、見ようとしない連中もいます。そんな階層には、ラムシンというジャンルがあることも、そこではビキニなど当たり前だという事も知らなかったりするのです。だからこそ、ラムヤイはケシカラン!という事になってしまうわけです。


初めて見た時のラムヤイは、すでにこんな感じで歌ってた


腰振りも開脚も、しなやかさをアピールする踊りの一部
 さて、それでも大マタ広げて踊る事はないだろう。という意見も聞かれます。そして、かの首相が「あの腰振りはタイの文化にそぐわん!」と言わしめました。それには、もう一つの理由が考えられます。歌唱ショーは一つのエンターテイメントであり、観客を楽しませる事が第一だ。そこで彼女は、ダンスの際に自らの柔軟さを活かす踊りをした。それがY字開脚であり、大マタ開きだったのだ。

 しかし彼女は、一連のバッシング騒動の途中から、同情を引かれるようになった。それは、彼女が多くのTV番組で、「家族のために、自分が出来る唯一のこととしてやっている事なんだ。」と訴えた。この仕事じゃなかったら他に何をすればいいの?と聞き返された司会者が絶句した場面は、わたしも鮮明に覚えている。その結果、大多数の経済弱者。つまり、ゴーゴーダンサーや地方から出稼ぎに来ている人々に大きな共感となったのだ。



騒動の前、彼女のSNSにはこんな写真がよくアップされていた


変わらない社会構造。そしてルークトゥン界は、シンデレラを生み出し続ける。

 思えば、ジャも、バイトゥーイも、同じような叩かれ方して、同じように同情を引いていました。これほどの短期間に同じ事が繰り返されるのですから、タイのヒエラルキー構造の格差と隔絶は、想像以上に強固で埋めがたいものなのでしょう。それとも、単に学習能力がないだけ?笑

 いずれにしても、逆に言えばこのヒエラルキー構造が、彼女達に取っては苦境となり、チャンスともなったわけです。そして、見事に掴み取ったのは結果的に明らかな事。また、イムRサヤームもデビュー曲「チーブダーイフェーンターイレーオ」の大ヒットで、外車と一戸建ての家をゲットしていました。今回、ラムヤイもバンコク郊外に新築一戸建てを、現金で購入しています。タイの基本的な社会構造が劇的に変わらない限り、このことは今後も繰り返されて行くことでしょう。つまり、ルークトゥン・モーラムは貧者がシンデレラストーリーを夢見る世界であり続けることになるのでしょう。

現金即決でラムヤイが新築した一戸建て
まさに現代のシンデレラストーリを体現した



大ヒット曲プサーオカーロッ



初めてラムヤイに出会った時のビデオ:その1



初めてラムヤイに出会った時のビデオ:その2



初めてラムヤイに出会った時のビデオ:その3

ちなみに、当時のギャラは1日1,000バーツだったとか




あとがき
 いかがでしょうか。ラムヤイが叩かれたわけについて、ご納得いただけたでしょうか。ラムヤイについては、わたしもそれなりに思い入れがありますので、ここで書いたことは、叩かれていた当時からずっと思っていたことなので、やっと投稿するに至って、ある意味ホッとしました。

 ルークトゥンもモーラムも、元々は庶民の暮らしに密着したものです。最近は単なるラブソングな歌詞が全盛になってしまいましたが、以前は生活の苦悩や時代背景が歌詞にも多く取り入れられていました。その意味では、ラムヤイの大ヒット「プサーオカーロッ」も、現代の女の子の心情を吐露したもの。だからこそ、若者たちにこれだけ多くの共感を得たのでしょう。ちなみに、同じ時期に大ヒットした「カムペーン」も
プサーオカーロッの男性版といった感じで、よく似た内容を歌っています。

 映画制作も決まったラムヤイですが、人気は水ものということは本人たちもよくわかっていて、だからこそ過密なスケジュールをこなして、稼げるときに稼ぐ。と今は徹底しているのですが、歌をちょっと乱暴に歌うようになっているのが気がかりです。そして、身体のこともあります。もう少しペースを緩めてもいいと思うのですが、せめて彼女の身体と心が壊れる前に。


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